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2026.10.06

アディダスのジャージは、タグとロゴでどこまで年代を絞れるか|西ドイツ製とVENTEXの3着で見る

古いアディダスのジャージ(トラックジャケット)を手にすると、「これはいつ頃のものだろう」と気になります。年代を知る手がかりは、胸のロゴと首元のタグにあります。

ただし、タグとロゴだけで「何年製」まで言い当てられるわけではありません。分かるのは「いつより後か」「いつまでか」という範囲です。この記事では、当社が2026年10月2日に買い取った、西ドイツ製のタグと VENTEX のタグが付いたトラックジャケット3着と、80年代後半以降のタグの例を使って、どこを見ればどこまで絞り込めるのかを、実物の写真で説明します。

アディダスのジャージは、どこを見れば年代を絞り込めるのですか?

見る順番は「胸のロゴ」「首元のタグ」「タグに書かれた生産国と製造者」の3つです。それぞれが「この年より後」「この年まで」という線を引いてくれるので、重ね合わせると範囲が狭まります。

  1. 胸のロゴ:どのロゴが使われているかで、「この年より後」が分かります
  2. 首元のタグ:タグの書き方や素材の表示から、作られた時期の手がかりが得られます
  3. 生産国と製造者:「西ドイツ」のように今はない国名や、当時の製造会社の名前が入っていることがあります

どれか1つだけで決めつけず、3つを重ねて範囲を出すのが確実です。

胸のロゴの形で、何が分かるのですか?

ロゴの形で分かるのは「この年より後に作られた」という下限です。アディダスの公式ブログによると、ロゴは次のように移り変わってきました。

トレフォイル(三つ葉) 衣料には1972年から使われています。2000年以降は、復刻を中心とする「Originals」のロゴになっています
Equipment(3本のバー) 1991年に公開されました。3本線をバーの形に並べたロゴです
Badge of Sport 1996年に導入されました。3本のバーとアディダスの文字を組み合わせたロゴです

つまり、トレフォイルが入っていれば1972年以降、3本のバーのロゴなら1991年以降と分かります。

ここで気をつけたいのは、トレフォイルは今も使われていることです。トレフォイルが付いているだけでは「古いもの」とは言えません。新しい復刻品にも付いているからです。ロゴは下限を示す手がかりで、上限はタグで見ていきます。

ブラウンの生地に刺繍された黄色のトレフォイルロゴ
胸に刺繍されたトレフォイルロゴ。この形のロゴは、衣料では1972年から使われている|当社買い取り品

「MADE IN WEST-GERMANY」と書かれたタグは、いつまでのものですか?

「西ドイツ(WEST-GERMANY)」という国名は、1990年10月にドイツが統一されるまでのものです。タグにこの表記があれば、統一より前に作られたと考えられます。

MADE IN WEST-GERMANY、Ein Schwahn Erzeugnis と書かれたタグ
タグに「MADE IN WEST-GERMANY」と「Ein Schwahn Erzeugnis(シュヴァーン社の製品)」|当社買い取り品

このベージュのトラックジャケットのタグには、もう1つ大事な表記があります。「Ein Schwahn Erzeugnis」、ドイツ語で「シュヴァーン社の製品」という意味です。

アディダスはもともと靴の会社で、服を作る設備を持っていませんでした。アディダス社の解説によると、創業者のアディ・ダスラーは西ドイツの縫製メーカー、ゲオルク・シュヴァーンと組んでトラックスーツを開発しました。シュヴァーンの工場で1966年に生産が始まり、1967年に最初のトラックスーツが発売されています。

このジャケットは、胸にトレフォイルロゴが入っているので1972年以降、タグが西ドイツ表記なので1990年まで。タグとロゴから絞れる範囲は「1972年〜1990年ごろ」です。

「VENTEX」と書かれたタグは、どこで作られたものですか?

VENTEX(ベンテックス)は、フランスでアディダスの衣料を作っていた会社の名前です。アディダスの愛好家による資料サイトによると、VENTEX はフランス北東部のトロワにあった化学繊維の会社で、1960年代後期から1980年代後期ごろまで、フランスのアディダスの衣料を製造していたとされます。

アディダスの青い内タグ。CREATION VENTEX、MADE IN FRANCE、サイズ192
青い内タグに「CREATION VENTEX」「MADE IN FRANCE」。サイズ表記は192(6フィート4インチ)|当社買い取り品

VENTEX のタグが付いた2着のうち、ブラウンのトラックジャケットのタグには「CREATION VENTEX」「MADE IN FRANCE」とあります。胸にはトレフォイルロゴ。トレフォイルで1972年以降、VENTEX の製造期間で1980年代後期ごろまでと絞れます。

アディダスの内タグ。PRODUCTION VENTEX、ポリエステル69%・トリアセテート31%
内タグに「PRODUCTION VENTEX」。素材はポリエステル69%・トリアセテート31%|当社買い取り品

もう1着、ライトブルーのトラックジャケットのタグは「PRODUCTION VENTEX」です。写真の面には出ていませんが、タグには生産国(MADE IN)の表記もあり、フランス製です。

このタグでは、素材の表示も手がかりになります。ポリエステル69%・トリアセテート31%。同じ資料サイトによると、VENTEX はポリエステルとトリアセテートを組み合わせた「KEYROLAN(ケイロラン)」という生地を1970年代中期に開発したとされます。表に光沢があり、軽くてしわになりにくい生地です。フランス製のものは、KEYROLAN の生地を使っていてもタグにその名前が入らないのが基本で、使われているかどうかは素材の表示で判断するしかないとされます。このジャケットがKEYROLANの生地であれば、1970年代中期以降という手がかりが加わります。

3着の年代は、タグとロゴでどこまで絞れたのですか?

3着とも、タグとロゴだけで言えるのは「1970年代から1980年代(西ドイツ製は1990年ごろ)」の範囲まででした。重ね合わせた結果は次のとおりです。

ベージュ(西ドイツ製) トレフォイル=1972年以降/西ドイツ表記=1990年ごろまで → 1972年〜1990年ごろ
ブラウン(フランス製) トレフォイル=1972年以降/VENTEX=1980年代後期ごろまで → 1972年〜1980年代後期
ライトブルー(VENTEX) トレフォイル=1972年以降/VENTEX=1980年代後期ごろまで → 1972年〜1980年代後期(生地がKEYROLANなら1970年代中期〜)

当社では、この3着を「1970年代」と判断しました。タグとロゴで絞れる範囲から先は、査定担当が次のように見ています。

決め手にしたのは、タグとデザインの組み合わせです。同じタグ・同じデザインの品物を探し、それがどの年代のものとして扱われているかを確かめました。

70年代のものと80年代のものを見分けるときも、査定担当がまず見るのはタグです。上の表のとおり、タグの表記だけでは80年代まで含みます。そこで、同じタグ・同じデザインの品物がどの年代のものとして扱われているかを確かめて、範囲を狭めています。この3着は、それが70年代のものとして扱われていたことから、当社では70年代と判断しました。製造年を証明するものではありません。

タグの写真を1枚お送りいただければ、買い取れるかどうかと金額の目安をお伝えします。年代が分からなくても、そのままご相談ください。

80年代後半からのタグは、どう変わったのですか?

80年代後半からは、国旗とその国のサイズを並べた、いわゆる「万国旗タグ」が使われるようになります。1991年以降は、3本のバーのロゴも登場します。万国旗タグの時期は、古着店の解説(RUSHOUT・FERANTRACING)がどちらも「80年代後半から」としています。ただし、どちらも出典は示していないため、目安として見てください。

ここからは、当社で撮影した、別の3着のタグで見ていきます。

トレフォイルと4か国の国旗が並ぶタグ

トレフォイルと、フランス・ドイツ・イギリス・イタリアの国旗とサイズが並ぶアディダスのタグ
トレフォイルと、フランス・ドイツ・イギリス・イタリアの国旗。それぞれの国のサイズ表記が下に並ぶ|当社撮影
Made in France、PRODUCTION VENTEX、ポリエステル51%・コットン49%と書かれた品質表示
同じジャケットの品質表示。「Made in France」「PRODUCTION VENTEX」、素材はポリエステル51%・コットン49%|当社撮影

黄色のトラックジャケットには、トレフォイルと4か国の国旗が並ぶ首元の万国旗タグと、「Made in France」「PRODUCTION VENTEX」の品質表示のタグがあります。

首元のタグのトレフォイルは、実物を見ると、葉の横線が2本つながっています。古着店の解説(RUSHOUT・FERANTRACING)では、トレフォイルの横線は70年代は葉ごとに離れていて、80年代前半は1本、80年代後半からは2本以上がつながるとされています。

万国旗タグは80年代後半から、トレフォイルの横線も80年代後半から、VENTEX の製造は80年代後期ごろまで。3つの目安が重なるので、80年代後半ごろのものと考えられます。どれも目安なので、前後する可能性はあります。

トレフォイルのない、「adidas」の文字だけのタグ

黒地に白で adidas の文字だけが入ったタグ。サイズ表記 D2・F156
黒地に白で「adidas」の文字だけ。サイズ表記はD2・F156|当社撮影
adidas の文字と、国旗とサイズが並ぶ白いタグ
同じジャケットの白いタグ。「adidas」の文字と、国旗とサイズが並ぶ(印刷は薄れている)|当社撮影

黒のトラックジャケットのタグには、トレフォイルも3本のバーもなく、「adidas」の文字だけが入っています。トレフォイルのないタグは60〜71年製、とする古着店の解説もあります(RUSHOUT・FERANTRACING)。

ところが、このジャケットには国旗とサイズが並ぶ白いタグも付いています。万国旗タグが80年代後半からのものなら、このジャケットも80年代後半以降と考えられます。また、どちらのタグにも登録商標の「®」が付いていて、同じ解説が古いものの特徴とする「®なし」にも当たりません。文字だけのタグだから古い、とは限りません。タグは1枚だけで決めず、付いているタグを全部見るのが確実です。

なお、この白いタグの国旗は、次に紹介する赤と紺のジャケットと同じ8か国の並びです。国旗の数で年代を示す出典は、見つかっていません。

3本のバーのロゴと8か国の国旗が並ぶタグ

3本のバーのロゴと adidas の文字、8か国の国旗とサイズLが並ぶタグ
3本のバーのロゴと「adidas」の文字。ドイツ・フランス・イギリス・アメリカ・イタリア・スイス・スペイン・カナダの国旗が並び、サイズはL(カナダはL/G)|当社撮影

赤と紺のトラックジャケットのタグには、3本のバーの下に「adidas」の文字が入ったロゴがあります。アディダスの公式ブログによると、3本のバーのロゴが最初に公開されたのは1991年の Equipment で、このときバーの下に入る文字は「adidas EQUIPMENT」でした。3本のバーとアディダスの文字を組み合わせた形は、1996年に導入された Badge of Sport です。

このタグは、3本のバーがあるので少なくとも1991年以降、公式ブログの区分に沿えば1996年以降のものと考えられます。国旗は8か国で、アメリカとカナダも入っています。

日本の「デサント製」のアディダスは、いつのものですか?

日本では、スポーツ用品メーカーのデサントが、1998年12月までアディダスのライセンスを持っていました。デサントの沿革によると、アディダスとのライセンス契約は1998年12月に終了しています。東洋経済の記事によると、この国内販売のライセンスは28年間続きました。

デサント製かどうかは、タグを見れば分かります。当社の査定担当によると、デサント製のものはタグにその記載があります。デサント製と分かれば、1998年までに作られた日本向けの製品と考えられます。

なお、当社ではまだデサント製のジャージの買取実績がありません。実物を買い取ったときに、タグの写真を追加します。

タグとロゴで分かる年代の目安は、まとめるとどうなりますか?

どれも「この年より後」「この年まで」という範囲を示す手がかりで、1つだけで年代を決めることはできません。複数を重ねて範囲を狭めていきます。

VENTEX(PRODUCTION/CREATION) 1960年代後期〜1980年代後期ごろ(フランス)
MADE IN WEST-GERMANY 1990年ごろまで(ドイツ統一前の国名)
トレフォイル 1972年以降(現在も使われているため、下限の目安)
トレフォイルの横線が2本以上つながる 80年代後半から(古着店の解説による目安)
国旗とサイズが並ぶタグ 80年代後半から(古着店の解説による目安)
3本のバーのロゴ 1991年以降(Equipment)
3本のバー+adidas の文字 1996年以降(Badge of Sport、公式ブログの区分)
デサント製 1998年まで(日本)

当社で買い取った3着は、いくらだったのですか?

3着とも9,000円でした。いずれも2026年10月2日に買い取ったものです。金額は、年代と状態を確認したうえで、その時点の相場を調べて決めています。

アディダスのベージュのトラックジャケット。ネイビーの切り替えと3本線
西ドイツ製のベージュ。状態ランクB、9,000円(2026年10月2日)|当社買い取り品
西ドイツ製 ベージュ 9,000円(状態ランクB)
フランス製 ブラウン 9,000円(状態ランクA)
VENTEX ライトブルー 9,000円(状態ランクB)

生産国も状態ランクも違うのに、金額は同じでした。3着だけで傾向を言うことはできませんが、少なくともこの3着では、「フランス製だから高い」「西ドイツ製だから高い」という並び方にはなっていません。

記事中の金額は、当社が2026年10月2日にその1着を実際に買い取った金額です。同じ型でも、状態やそのときの市場によって金額は変わります。この金額での買取をお約束するものではありません。

年代が分からなくても、買い取ってもらえますか?

はい。年代を調べてからお持ちいただく必要はありません。タグとロゴの見方はこの記事のとおりですが、タグが薄れて読めないものや、タグが切れているものもあります。その場合も、そのままご相談ください。

古いトラックジャケットの査定では、年代のほかに次の点を見ています。

  • ファスナー:どの会社のファスナーが付いているか
  • 傷み:服に傷みがないか
  • 機能:ファスナーなどがきちんと使えるか

査定でどこを見ているかは査定基準に、タグの洗濯表示で年代を見分ける方法は古着のタグで年代を見分ける方法に書いています。

よくあるご質問

Q. トレフォイルロゴが付いていれば、古いものですか?
A. そうとは限りません。トレフォイルは衣料では1972年から使われていますが、2000年以降も「Originals」のロゴとして使われています。古さを知るには、首元のタグの生産国や製造者の表記をあわせて見てください。

Q. タグに「MADE IN WEST-GERMANY」とあれば、何年代のものですか?
A. 1990年10月のドイツ統一より前に作られたと考えられます。胸にトレフォイルロゴがあれば1972年以降なので、あわせて「1972年〜1990年ごろ」の範囲になります。

Q. 国旗がたくさん並んだタグは、何年代のものですか?
A. 古着店の解説では、国旗とサイズが並ぶタグは80年代後半から使われたとされています。3本のバーのロゴがあれば1991年以降、バーの下に「adidas」の文字が組み合わさった形なら、公式ブログの区分では1996年以降です。ほかのタグ(生産国や製造者の表記)とあわせて範囲を絞ってください。

Q. 本物かどうかも見てもらえますか?
A. タグやロゴに何が書かれているかはお伝えします。ただし当社は鑑定機関ではないため、真贋を証明・保証することはできません。判断がつかない場合は、その旨をお伝えします。

Q. タグが切れていても値段はつきますか?
A. つくことがあります。タグは年代を絞る材料の1つで、値段そのものではありません。縫製や生地から判断できる場合もあります。

Q. 掲載されている9,000円で買い取ってもらえますか?
A. お約束はできません。掲載しているのは、その日にその1着を買い取った実際の金額です。同じ型でも、状態や付属品、そのときの市場によって金額は変わります。

この記事の出典

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